デフスペースデザイン講演会開催
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2025年5月13日(火)、本学建築関係コースおよび国際交流加速センターは、ギャローデット大学よりデフスペースデザインの専門家をお招きし、「建築学生との交流会」および「一般公開の講演・ディスカッション」を開催しました。
来学されたのは、ギャローデット大学キャンパスデザイン&プランニングに所属し、キャンパス環境の改善や新校舎設計に携わるリチャード・ドハティ氏とダニエル・モレノ氏です。近年の日本で「デフスペース」という言葉が知られるようになってきましたが、この概念はギャローデット大学により構築されたものです。
「建築学生との交流会」では、本学建築学科3年生がデフスペースに関する考察を発表し、それに対して両氏が質疑応答を行いました。続いて、ダニエル氏による講演が行われ、学生たちはデフスペースの理念や具体的な実践例について学ぶ貴重な機会となりました。
この後の「一般公開プログラム」には、平日にもかかわらず多数の来場者が集まりました。冒頭では、本学の田中晃准教授と、卒業生である福島愛未氏による講演が行われ、続いてリチャード氏が登壇。デフスペースの定義、設計条件、そしてギャローデット大学およびその周辺地域における建築計画について紹介されました。
また、国内で活躍するろう者の建築関係者4名(うち、3名が本学卒業生)によるパネルディスカッションも行われ、参加者はそれぞれの立場からデフスペースへの思いや経験を語りました。そこでは、建築学の知識だけでなくろう者学(Deaf Studies、デフスタディーズ)の理解も欠かせないという、重要な視点が共有されました。
さらに別の時間には、学外のろう者との意見交換会も開催され、デフスペースに関する議論が活発に交わされました。今回の訪問をきっかけに、ギャローデット大学のデフスペースデザイングループとの継続的な交流を今後も進めていくことが確認されました。
このような国際的な交流を通じて、デフスペースの理念や信頼性の高い知見が、日本社会においてもさらに広く共有・普及していくことが期待されます。
レポーター:支援技術学コース福祉住環境学領域3年 長宗和代
ーリチャード氏、ダニエル氏によるデフスペースデザインの講演会に参加して:新たな視点と希望ー
私は、米国のギャローデット大学の関係者によって提唱されたデフスペースデザインの概念、及び指針の中にある150以上のアイディアについてさらに詳しく理解したいと思い、参加致しました。
講演の中で、デフスペースデザインとは「ろう者が設計段階から主体的に関わり作り上げていくものである」と話されました。
私の中にあった、現状の”聴こえる人の中にひっそり目立たず設計している”というイメージが霧のように消え、聴こえない人が生き生きと設計している光景が目に浮かびました。
そういった部分で現在の状況を変革させる、新しいビジョンではないかと思いました。
また、講演の中でデフスペースデザインの可能性というものを感じました。
それはろう者の利益・利得が、聴こえる人の利益・利得に繋がるということであり、実際にそうした実例も示されていました。
これが大きな意味でのインクルーシブデザインとなるのではないかと考えました。
そして、本来の意味のデフスペースデザイン・デフフレンドリーデザインに積極的にかかわって行けるよう、更なる建築の知識を深めたいと思いました。
講演を聞き、本場のデフスペースデザインの概念に触れるという貴重な機会を得られたことに関係者の皆様に感謝いたします。
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